連載 5 東日本大震災 被災地 商業施設 視察

視察研修参加メモ(東日本大震災復興8年目の検証)

マーチャンダイジング パートナーズ 岡田 浩司

 私は、平成26年(2014年)の第1回目の視察研修および平成27年(2015年)の第2回目の視察研修に参加させていただき、今回第3回目の研修となり、ささやかではありますが、復興の経過を見ることができました。

 先ずは、今回もこの研修機会を作っていただいた アーティスティック集団(株)飯塚康司代表をはじめ中小企業基盤整備機構の富岡様、そしてなにより研修視察の中で、ご講演いただいた南三陸町商工会 山内正文会長様、閖上地区 佐々木酒店専務佐々木専務をはじめとして、お話しをお聞かせいただいた商業施設の方々に御礼申しあげます。


<過去2回の視察振り返り>

 平成26年の初めての視察の際には、一部嵩上げ工事が残っており、町の基盤整備が完了していませんした。例えば商店街でいえば、南三陸町のさんさん商店街や閖上地区(港朝市)のようにオープンしていたところもありましたが、震災地域全体としては未だ整備中でした。翌平成27年に訪問させていただいた、宮城県の亘町の復興の度合いが(商業施設としての内実は別として)形は整っているのとは別に、福島原発の被災地 浪江町の復興状況の厳しさとその道のりの果てしなさに愕然としました。

<今回 第3回について>
1)全体として
 前回同様 今回も訪問させていただいた、南三陸町「さんさん商店街」及び閖上地区「港朝市」、女川駅前地区とも、商店街としての形は整備され、商店街としての色(雰囲気、個性)もそれなりついてきたように思いました。
 唯、訪問の曜日・時間の関係もあるとは思いますが、ごく一部の飲食店は別として、‘賑わい’という意味では寂しく(地元のお客さんの姿がほとんどみかけない)、今後の課題と感じられました。
 商店街が、買い物場所という以上にコミュニティの情報交換の場であり、暮らしを支える場とすれば、持続的に商店街として成り立たせるには、地元のお客さんをと如何に接点をもつかが重要課題と思われます。

2)復興(商店街の再生)の度合いを測る尺度とは何だろうか?
 人口減少と小売業の構造変化とともに全国の商店街のシャッタ-化が止みません。対策として、“まちづくりの活性化”と称して イベント等の活動が行われています。が、その施策の多くの効果は極めて限定的です。大きな時代のうねりの中では小手先の施策では対応できないということかと思います。
 そのなかで、被災地商店街はその施設自体はある程度整ってきているかに見えます。
換言すれば、(問題はあるにせよ)施設の整備という意味で 復興の第一段階を終え、次の段階として、地域の過疎化が進むなかで、それぞれの商店街が持続的に生きてゆくための基本的なビジョンづくりとその為の方法論が必要なのではと思います。
 具体的に言えば、どんなお客さんに(例:観光客:ダークツ-リズム?地元客?・・・) どのような方法で(例:特産品?観光施設?大型店誘致?・・・)アプローチするか等々、一過性の販促活動ではなく、長期的な戦略的なマ-ケティングプロセス(計画、実行、評価)が求められるのだと思います。